アルバイト

十代の頃新宿のレストランで働いたことがある。アメリカンスタイルの先端の店で忙しかった。当時珍しかったBLTサンドや、ミルクセーキ。といってもアイスクリームを攪拌してイチゴだのチョコレートだのを混ぜたもので、今ではよく見るが当時はなかったものだった。物凄く流行って皿洗いも半端ではなかったように思う。当時は洗浄機などなかったしね。ジャガイモもナイフで剥いていた。というような経験をして、今65歳で、あるところで皿洗いのアルバイトを始めた。十六歳のころの経験が蘇って、それほど苦ではない。何時間かの奴隷である。高級な店なので、仕事は丁寧だ。野菜の扱いも丁寧に、赤ちゃんを扱うようになどと言われ、そう思ってやってみると野菜とはこんな顔をしていたのかなどと発見したりするのだ。

いい年をしてアルバイトもちょっと恥ずかしいが、そんなことも言ってられない事情もあるのですよ。悪戦苦闘した本も上がったが、いつ出版できるのかは、まあ、わからない。出版されれば売れると思っている作品なんですがね。なんてことで、2ヶ月近く閉じこもって家で仕事。気が付いたらポツンと取り残されていた、なんてことになったりしているわけです。

時間が出来て、今月から月一独演会をやります。1月20日に「べっかんこおに」 三軒茶屋の外れの小さな喫茶店です。ここから出発する気持ちで始まります。

ここでの活動から次に進もうと思っているのです。新作も用意しよう。新しい芝居の準備です。年末に深水三章さんが亡くなった。70歳だ。12月10日に新宿で二人で飲んだ。一緒にやろうなどと話したばかりだった。息子が「お父さんの知り合いよく死ぬね」と心配顔で言う。親父もそろそろかと思うのかもしれない。10歳の息子に「お前が20歳までは生きてるつもりだ」と言うと「どうかねえ」と苦笑いした。

まあ、踏ん張るつもりです。三茶の外れの店にどうぞいらしてください。今年もよろしくです。

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