今年に入って,二本のラジオドラマに出演しました。「いつか超える海」「スタンダールの赤と黒」です。様々な演技スタイルの人が集まり、一つの世界を創ります。テレビドラマや映画とは違う面白さのある世界です。ラジオドラマ。機会がありましたらぜひ聞いてください。
演技、演劇の事、もう少し続けてみようと思います。声について、体のこと、色々と書きました。私達の劇団は長い間、赤石武生氏が引っ張ってきました。とて も優れた演出家だと今でも信じています。彼は文学座の出身で、その後蜷川幸雄さんに師事して演出を始めました。90年代私達は声のこと、体のことについて 考え、実践してきたつもりです。チェーホフの「熊」「プロポーズ」の二本を男だけで演じた作品は、私達が考えた事の具体化だと思っています。
この、何十年、現代演劇はブレヒト等の影響を強く受けながら、様々な実験をくり返し、成果を残してきたと思います。ところが、一つの形が出来ると、又、そ れを壊していかなければならない。そのことが、現代の演劇、演技の厄介な所です。飛び跳ねる演劇、叫ぶ演劇、静かな演劇。完成した時には、新鮮だったもの が、あっという間に古びてしまう。こだわってシステム化しようとすると、何か鼻持ちならなくなる。ピーターブルックが何かで退廃演劇と言う言葉を使ったよ うな気がするけれど、そんな匂いがしてくるのです。演劇はもっと自由なはずだ・・では、自由ってなあに?とりとめがない。
俳優は様々な現場で、色々な体験をします。演出のことなど知っちゃあいないと言う演出家との出会い。演技とは思えない演技との出会い。色々な美学との出会 いがあります。そことうまく付き合って、演技をして帰ってくる。ところが,演出家や作家は自分の世界との出会いしか体験できない感じがします。蜷川さんは 長い間、俳優の体験があり,苦労しています。そこがとても強い。新劇の演技のこだわりも、東映の大部屋の俳優さんたちの美学もよく知っています。幅の広さ を感じます。次回の公演で私達は福田善之氏を迎えます。どんな公演になるのか私も楽しみにしています。「演劇の多様性を大切にしたい。人々の心の様々なあ り方を、尊く思うこと。私達の仕事の,それが第一の基礎ではないか」福田さんは演出家協会の告知で年頭の言葉として述べています。福田さんのこと、私達の 劇団の事を次回は書こうと思います。
2004 年 1 月 11 日 (日)
2013年3月6日
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