病人の氷枕やヒヤシンス・・山田風太郎のエッセイに出てくる、読み人不明の句だそうだ。山田自身、笑わずにはいられない句だそうで、私も思わず本を読んで いて,声を出して笑った。このくらい面白い事を言って死にたいものだ、と、山田は言う。それにしても、山田風太郎のエッセイは面白く、最近、やや鬱気味 だった私は、救われたような気持ちになった。一冊の本,一遍の詩、絵でも演劇でも良いのだが、生きていく勇気が沸いてくる、なんてことはめったにないのだ が・・山田風太郎のエッセイで勇気が沸いた。終戦の年、3月の大空襲の後・・道端で家族を失ったであろう、二人の女がボロボロで、汚れたほっかむりをし て、座り込んでいた・・空は青空。通りかかった山田の耳に聞こえたのは「きっと又いい事があるわよ・・」と、呟く女の声だったそうだ。その言葉が今も忘れ られないと書く、山田のスタンスとユーモアと優しさが、落ち込んだ気分を揉んでくれる。山田風太郎は死んでしまったが、死ぬ前になんて呟いたのだろう・・ 人間臨終図鑑という臨終前の人間の言葉を並べた本を出してるくらいだから、何か気のきいた・・いやいや・・たぶん何も言わなかっただろうと、エッセイを読 んでいて思う。
2006 年 11月 18 日 (土)
2013年3月7日
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