いろんな場所に、仕事や稽古で行く。昨日の稽古は新中野、鍋屋横丁のビルの4階。二階は女装クラブ。三階は男性専科と何だか怪しげ。目の前はパチンコ屋。 このパチンコ屋のビルを建てるときに、数十年前に基礎工事のアルバイトをしたことを思い出す。東京のあちこちに思い出が散らばっていて、話すと、嘘を言っ てるんではないかということばかり・・15歳の時に倒産した我が家は東京中を逃げ回ったという感じで、いろんな所に住んだのだった。木の一本一本にも、街 角の路地の入り口にも、思い出が重なっていて、そこを尋ねて、やって来る人がいる、なんてことを忘れないほうがいいと、今、作品にしようと思っている山本 素石が言う。私が住んでいる三軒茶屋は、それこそ、過去というものに死を宣告しなければ気がすまない(西部邁)、という感じで変貌している。過去を消し 去って、一体どんな未来があるのだろう・・などと時々思う。太子堂町に昭和女子大があって、その正門横の路地裏を入っていくと、白い大きな木がある。その 木の下を通るたびに思い出すのは、雨の日に、傘を差して通った、幼稚園への道。五十年以上前のことが、昨日のように思い浮かぶのだ・・この木は区の重要な んとかになっていて、切られそうもないが・・この木がなくなれば、思い出もなくなるような気がする・・まあ、思い出など、どうということもないという、事 もあるけれど・・今、あちこちの稽古場。見知らぬ路地裏を歩いていると、この木や壁や古い家や公園に、一体どんな思い出が、塗りこめられているのかな あ・・などと、時々思ったりするのです。11月13日からの芝居。私にとって、懐かしい思い出の一杯つまった、チェーホフです。
2008 年 10 月 11 日 (土)
2013年3月7日
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