子育てで自慢できることと言ったら、三人の息子に自転車の乗り方を教えたことだろうか。教え方には自信がある。1時間で乗れるようにできる。と思っていた。ところが1年ほど前小学校の同窓会で、自動車の修理工場の息子の田中君が「俺、鈴木に自転車の乗り方教えたんだよな」と言われた。そういえばそいつは、当時珍しかった子供用の自転車を持っていた。話しているうち、教えてもらった空き地までまざまざと思い出した。つまり私は田中君の教え方を踏襲して、子供たちに教えていたわけで、まあ、彼は元祖だったのである。と、自転車でさえそうなのだから、もっと複雑な、いや、日常にも元祖というのがあって、最初に教えてもらったことと言うのは、案外長く尾を引くものなのだ。演劇でもそうで、私はやっぱり蜷川幸雄さんに教わったので、どうしても似てしまう。せっかちなところとかね。基本的なところが似るのだ。自転車の乗せかたもそうだが、私はまず、やらせて、回数をかさねて、慣らせて、なのだ。きっと田中君もそうだったのだろう。蜷川さんもそうで、まず体に叩き込むというやり方をする。ところが自転車はおおむねそれでいいのだが、演劇は案外理屈が通らないと、と考える人も多く、そこいらへんを吹っ飛ばすと。まあ、誤解と言うか、嫌われたりするのですね。演劇は肉体だけと言っても過言ではないのだけれど。そんなことを言うだけで、又、誤解される。肉体は本当は肉体だけではないのだよ。と言わなければならないというか・・自転車のほうが、まあ、伝えやすいね。乗れればいいんだから。芝居はそうでもないわけで・・いや、自転車も芝居もおんなじ様なもんだ、と言いたくなるときもあるんだれど。
長い間休んでいて、芝居に復帰した、すまけいさんに「だいぶ休んでいて大丈夫でしたか?」と聞いたことがある・「自転車だって、一度乗れたら忘れないでしょ、それと同じですよ」と応えていたことを思い出した。自転車と芝居は似ているのかもしれない。
さて、今週、土曜日と日曜「ベッカンコおに」公演。明日からは通し稽古。体に叩き込む稽古が始まるわけです。自転車乗っているときに乗り方のあれこれなんて、考えません。すいすいと風を切るだけです。芝居もすいすいと風を切って、別の世界まで飛んで行きたいものですね。
自転車
2013年11月25日
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