ペーソス

島本慶さんという私と同じ年の、漫画家、というか風俗ライターというか、編集の仕事をしている人がいて、20年くらい前からの知り合いなのだが、三軒茶屋に住んでいる関係で、時々道でばったり会う。
編集プロダクションの社長でもあるので、仕事をもらったりもしている。その島本さんがペーソスというバンドをやっている。先日、代官山のライブハウスにそのペーソスのライブを見に行った。
メンバーに元白夜書房の編集長末井昭さんもサックスで参加している。島本さんの味わいのある歌。そして演奏。1時間。遊びでやっているのかと思っていたが、けっこう真剣なのである。
一体全体、なにが彼らをつき動かしているのか。こんなことやらなくても、充分に充実した人生をやっているようにみえる、老年に差し掛かった4人が、真剣に歌っている。聞けば、年間100ステージやるというから
もうプロなのである。「薄くなる、薄くなる、人間関係薄くなる。家族の関係薄くなる、薄くなる、薄くなる・・」と、なんだか身につまされる歌を、飄々と歌う島本さん。私には、4人の人間関係がうらやましく思えた。
60過ぎて、4人そろって、たいして金にもならないことを真剣にやるなんて、できることではないのである。一人でやっても大変なのに、4人もそろっている。皆、品があるのだが、アウトローな感じが漂って、まあ、メジャーにはならないだろうというか、なってほしくないような。帰りに、末井さんの「自殺」という話題になっている本を買った。末井さんは私が白夜書房で仕事をしている関係で、やっぱり昔から知っている。名物編集長でもあるが、不良な感じが漂っていて、尊敬している人間の一人でもある。
末井さんのお母さんは、隣に住んでいた若い男とダイナマイト自殺をした。そのことは結構有名で、まあ、そんなことから「自殺」という本を出版したのだろう。このエッセーは末井さんが結構本音で書いていて、私にもつながる部分があって、シンパシーがわいた。ともかくいい本なので、お勧めです。
私は俳優なので人前で何かやるのを仕事にしているわけだが、彼らは人前でなにかやるのを生業にしているわけではない。だからなのか、なにか生臭さがないというか、透明感があるのである。うらやましいのである。私もなにか手に職をつけて、絵とか俳句とか・・などと考えたりするが・・どうも才能というものがないのがわかるというか。時折こうやって文章書くが、透明感というと、自信がない。
さて、私はここのところテレビの仕事が続いている。ワンシーンなんてのが多いのだ、それでもありがたいことなので、一生懸命やるわけです。今日も茨城県の袋田の滝のそばに行って、泊り。終戦記念のドラマで私は写真館の店主。昔は写真館に行って、何かの記念で写したもので、私も家族で写した写真があるが、いったい何のためにその日写したのかよくわからなかったが、今この年になって、母の気持ちが少し想像できるようになった。
それにしても、ペーソス。うらやましい。私も、3人か、4人で、こんなような、芝居ではなくて、語りのような、肩の力抜いた、何か表現をやろうと、画策を始めました。べっかんこおにとは違ったテイストで、などと思っておりまする。
世間は梅雨に入りました。今年の夏はどうなんだろう。冷夏なんてことにならないといいのですが。

Follow me!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次