一枚の絵

行きつけのパン屋があって、そこにコーヒーを飲みに行く。
いつも座る席の横に、市場のような絵が飾ってある。フランスの街角、パリの郊外か、ふと、その絵を見ていて、東京にはこういう風景が無くなってしまったなあ、と気がついた。太ったおばさんの物売りの声。気取って歩く紳士。タバコくわえたおっさん。物持ちの良さそうな婦人。犬を連れた若い女・・老若男女、品と下賤、富と貧・・ごちゃ混ぜの光景。こういう光景が人を安心させるという気がする・・ここにくれば、孤独も癒される・・そんな場所がない。柏で起きた、無差別殺人。あいつも、こんな場所があったら、あんなことをやらかさないですんだんじゃないだろうか、などと思う。ちょっと負けたら、もう行く場所もない。それでは、負けやすい人間にとっては酷というものだ。
ぼんやり絵を見ていて、店の兄ちゃんを呼ぶ「これ、フランスだよね」「そうです。店長が買ったんですよ。時々行くんですフランス。いいですよね・・こういう風景がいっぱいあって」そんな会話を交わした。ずいぶん前にフランスに行ったが、平日なのに、あちこちに市場が立っていた。骨董の市場もあって、何かを買ったような気がする。すぐ側が墓地で、珍しい墓を見て歩いた。そういえば、東京も、神社や墓地の近くに縁日や、市場ができたのだが、開発とやらで、そういう習慣も消えてしまったような気がする。
さて、20日から、神社で芝居だ。神社の周りを宣伝で歩く。
この辺りに、市場なんかができたら、なんていいんだろう。
などと、想像する。開かれた神社なので、これから、色々なイベントが行われ、人が行きかうような場所になればと思う。今日も、子どものための語りの会が行われる。ちょっと行ってみようと思っている。
私たちの公演。昨日衣装を借りてきた。時代物の雰囲気のある衣装。神社の境内が物語の世界に包まれます。

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