好きかということ

新聞で、美術家の横尾忠則さんが書いていた。絵を描くのが仕事だが、仕事となるとそんなに面白いこととは思えず、「好きか?」と聞かれて「ハイ」とは応えにくい。その中で、絵描きの熊谷守一氏の言葉に触れている「私は好きで絵を描いているんではないのです」「絵を描くより遊んでいるのが一番楽しい」とまで言い放つ・・情けないことに絵を描いて遊ぼうというんです・・もっといいことがあれば絵なんか描かない・・熊谷さんは、そういいながら97歳まで絵を描いて、長寿を全うした。私も時々、好きなことがやれて、いいですね、などといわれる。好き?と私は思う。好き、ということとは違う。正直に言えば、それほど好きではない。遊んでいるほうがいいに決まっている・・が、横尾さんも言っているが、本当に遊ぼうとすれば、創造していく以外にないのかもしれないと。そう考えたら遊んでいるようなものと思うかもしれないが・・好きか?と聞かれると、そうでもない、と思うしかないのだ。私の場合だが、人の前で、何かを演じる、何てことではなくて、一人で、誰にも見せないで、勝手に、演じて、それで、うふふと笑う、なんてことが、どっちかといえば好きで、そうなると、閉じこもりの世界で、誰にも理解されないで・・マア、大体、私の場合だが、子供の頃から、今でもそうだが、偏屈があって、偏屈のために世間と折り合いがつけにくく、それでもって、演技をしているというようなところがあると、最近気がついた。
で、まあ、稽古場で、私はここ十年ほど、演出をやったりしているわけで、俳優を少し客観的見ることもある。偏屈なのが多いのだ。世間と折り合い、つけにくいだろうと、思ったりするが、そんな人間が集まって、一つの世界を作り上げる作業をするのです。今も、稽古真っ最中。10月公演もうすぐそこ。変な人間、いや、ばかりではありませんが、集まって、清水邦夫の世界をフーフー言いながら創っているわけです。
10月15日初日「戯曲冒険小説」ぜひいらしてください。劇中、冒険ごっこで遊ぶシーンがあります。見ているときっと思うでしょう、好きじゃなきゃできないよと。まあ、そうなのかもしれません。いい作品です。お楽しみに。

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